
絵をかくより,おもしろいこと見つけた!

子どものころから絵をかくのが好きだったのでイラストレーターになり,会社に所属(しょぞく)して仕事をしていました。その会社がボタンやアンティークビーズを外国から輸入(ゆにゅう)するようになり,わたしもアクセサリーを作ることになり,アクセサリーを制作(せいさく)する楽しさを知りました。結婚(けっこん)して退職(たいしょく)したあともアクセサリー・デザイナーになろうと思っていたわけではありません。知人から「アクセサリーを作ってほしい」と依頼(いらい)されました。わたしが作ったネックレスやブローチをその方がつけたところを見ておどろきました。たった1つのアクセサリーをつけるだけで,その方がかがやいて見えたのです。『絵をかくより人間をかがやかせるほうがおもしろい』と思ったしゅんかんでした。そのあと,口コミで注文の依頼が来るようになり,いくつかの雑誌(ざっし)でしょうかいしたいという話があり,気がつくと,いつの間にかそれが仕事になっていました。
1個(こ)のビーズが世界でひとつの作品になっていく過程(かてい)にわくわくする


わたしが作るアクセサリーは,世界にひとつしかない,いわゆる1点ものと呼(よ)ばれるものです。作品を作るときは完成品を思いえがいていませんから,設計(せっけい)図もかきません。先日,アンティークビーズのお店で,『きれいだな』と目にとまったピンク系(けい)のビーズを1個買いました。家に帰って,自宅(じたく)の作業場で,その1個のビーズを前に置きました。いつも作業の前にそうするのですが,静かに目を閉(と)じて神様にいのりました。自分の先入観やよけいな感情(かんじょう)がなくなり,心が自由に開放されるからです。『そうすると,インスピレーションがわいて,前から持っていたグリーン系のちがう形のビーズと組み合わせてみよう』とひらめきました。もともとわたしはピンクとグリーンは合わないと思っていましたが,自由な気持ちで合わせてみると意外と合ったのです。「こんな色どおしが合うんだ〜」と,わくわくしました。ピンクとグリーン,ふたつのビーズを組み合わせたところに,ほかの色のビーズを組み合わせていきました。「これは,ネックレスになる。」合わせていく過程(かてい)で,最初の1個のビーズが,イヤリングのパーツなのか,指輪になるのか,わからなかったものが,自然な心の流れの中で「ネックレスになっていくなあ」と感じると,ますますわくわくします。ネックレスの先たんのかざりも,家にあった古いフランスのガラスのリングパーツを加工して作ろう,と,そのときのひらめきで作りました。いろんな素材(そざい)を組み合わせて,何になっていくのかなあと思いながら作業するので,作る過程のすべてでわくわくします。



