
お客さんからの「ありがとう!」が力になる

自分は価値(かち)のない人間なのではないか。離婚(りこん)した自分を責めていた自己嫌悪(じこけんお)の20代。仕事をやめて海外放浪(ほうろう)中,ぐうぜん勤(つと)めていたころのお客さんに出会いました。そのときの言葉がわたしの人生を決めました。「ありがとうございました。わたしはあんなにもじゅうじつした2週間を過(す)ごしたことはなかったです。あなたがすすめてくれた旅をして元気になりました。わたしのように旅をきっかけに,一人ひとりを元気にして,日本を元気にしてください。」人の役に立つことの喜びを発見し,自分が好きになれたしゅんかんでした。あれから20年たった今も,お客さんのえがおや「ありがとう」の言葉が,わたしをわくわくさせ元気にしてくれます。自己満足には限界(げんかい)があります。「他喜力【人に喜んでもらう力】」こそが仕事や人生に力をあたえてくれると実感しています。
感動の卒業式

大学院の卒業式を欠席して,この旅に参加した隊員【お客さんを隊員と呼(よ)びます】のために,最終日に卒業式をするサプライズをしました。するとかれは,この旅に参加した理由をなみだながらに話し始めたのです。「実は2か月前に親友を交通事故(じこ)で亡(な)くしました。死んだ親友がのぞんでいたであろう明日を自分が生きているんだから,かれの分まで一瞬(いっしゅん)一瞬を精いっぱいに生きよう。悔(く)いのないように本気で生きよう。自分らしく人生を楽しもう。それが,かれの死にむくいることだと思ったんです。」と。
隊員たちはかれに喜んでもらおうと,懸命(けんめい)に卒業式の準備(じゅんび)をしていました。他人事でまかせていると返ってくるものも小さいのですが,自発的に気持ちを入れてやればやるほど,自分に返ってくるものも大きいとわかっていたからです。かれの決意が,一人ひとりの隊員の心をゆさぶりました。アタマでわかった気になるより,ひふ感覚で知ることが大事だと思います。みんなでかれといっしょに思いっきり泣きました。感動を共有して,共感できたしゅんかんです。旅はどこへ行くかではなく,だれと行くかです。連れて行ってもらう,受け身のものが「旅行」なら,「旅」は主体的なものです。自立した仲間と,みんなでつくった旅のほうが記おくに残るはずです。人生は思い出づくりだと思っています。今を大切にするために行動することですね。



